成年後見 / 弁護士 大村 隆平

■成年後見制度とは
成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度の2種類があります。
これらは、いずれも判断能力の低下した本人の行為能力を制限し、後見人等をつけることによって本人の利益を保護するという点では共通しますが、制度の開始方法や後見人の権限には差異があります。

■法定後見制度
法定後見制度を開始するには、本人や配偶者、4親等内の親族等が家庭裁判所に申立て、家庭裁判所から後見等開始の審判を受ける必要があります。
法定後見制度では、本人の判断能力の程度に応じて、後見・補佐・補助という区別がなされます。
後見は、常に判断能力を欠く状態が継続している者に適用されます。後見人には、本人の法律行為を包括的に代理する権利のほか、本人が単独で行った法律行為についての取消権や追認権が認められます。
補佐は、判断能力が著しく不十分である者に適用されます。保佐人には、民法13条の定める重要な法律行為についての同意権や、重要な行為についての取消権・追認権、補佐開始時に定められた行為についての代理権を得ます。
補助は、判断能力が不十分である者に適用されます。補助人の権限は三類型の中で最も狭く、家庭裁判所が定めた行為についての同意権・代理権・取消権・追認権に限定されます。

■任意後見
任意後見は、事前に任意後見契約を締結しておき、必要となったタイミングで家庭裁判所に任意後見開始の申立てを行うことで開始します。
任意後見契約は公正証書による必要があります。

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