弁護士に成年後見人を依頼するメリット / 弁護士 大村 隆平

成年後見人は、不正行為や任務の懈怠などがない限り、一旦選任されると変更するのが難しくあります。被後見人の財産や生活の保護を担うことから、誰を成年後見人に選任するかは重要なことです。この点、親族や友人などに限らず、法律の専門家である弁護士も成年後見人になることができます。ここでは、成年後見人を弁護士に依頼するメリットを紹介します。

・あらゆる法的紛争を事前に回避・解決できる
成年後見人にまつわる法的なトラブルは様々です。弁護士は、法律の専門家なので被後見人の利益を最大限配慮した法的主張をしてくれます。
例えば、被後見人が相手方から財産の侵害を被った場合、弁護士が訴訟上の請求をすることで被後見人の利益を保護します。また、相続時に、後見人が親族であるなど、成年後見人と被後見人が相続人である場合、成年後見人が遺産分割協議に参加することは利益相反行為として認められず、相続を円滑に進めることができなくなります。しかし、弁護士を成年後見人にすると、そうしたトラブルが生じず、協議においても被後見人の利益を配慮した主張を行ってくれます。

・複雑な財産管理やあらゆる手続きを任せられる
成年後見人は、被後見人の財産を管理する役割があります。被後見人の財産が複数あり、高額であればあるほど、財産に関する法律関係も複雑になり、成年後見人の財産管理も容易ではありません。
次に、成年後見人は、被後見人の介護契約や介護施設への入所契約など療養看護に関わる契約を代理して締結する必要もあります。また、被後見人の財産目録、生活費・療養看護費などの年間の収支予定表を作成し、家庭裁判所に提出しなければなりません。仮に、親族が成年後見人となる場合、日常の生活に追われ、こうした手続きが大きな負担となってうまくできないことがあります。そこで法的手続きに精通した弁護士に成年後見人を任せると、これらの煩雑な手続きをスムーズに行ってくれます。

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